「ないモノはつくればいい」by 木本丈士
「カムカムエヴリバディ」大月の回転焼き
世界はモノで溢れている。
しかし、自分が望むものにはなかなか出会わないのが世の常である。
かといって妥協はできない性質なのでその解決策は二つしかない。
ひとつは、自分にフィットしたものに出会うまで待つ。
大凡はこちらを選択していることが多い。
もうひとつは「ないものはつくる」ということ。
そもそも“つくる”という作業が好きな性分ではあるのだが(過去記事参照:クリエイティブの本質)、それをはるかに上回るのが小学校からので同級生で、うどんとお芝居が好きな幼馴染みの通称“たけちゃん”こと木本丈士。私は小学生の時の愛称“キュッピ”と親しみを込めて呼んでいる。彼の職業は通常の板金加工から精密板金までこなす板金業(王子全機)。とはいえ板金以外のものも、とりあえずはなんでもつくってみるモノづくりの師匠だ。
これまでにキュッピがつくってくれたものを一部を紹介したい。
■お札置き
マンション暮らしの私の部屋には仏壇もなければ神棚もない。しかし、頂いたり購入したお札をインテリアを侵すことなく適切に設置したい。そこで誕生したのが、壁面に負担のないピンで止めることが出来る雲形のお札置き。3Dプリンターでつくってくれた。ちなみに3Dプリンター機器そのものが自作という。
■縄文式土器
懐古趣味というわけではないのだが、美術的視点、物質的価値から古着や家具、食器に年月を経たモノを愛用している。私のコレクションアイテムのひとつに縄文土器片があることを知るキュッピからソフトクリームのコーンサイズの縄文土器と土偶が贈られてきた。ちょっと意味が違うのだけど、これはこれでかわいいし嬉しい。
■ベランダ設置ハーブ栽培プランターなど
庭仕事用具に合わせた専用収納ラックやベランダ設置専用ハーブ栽培プランター、アート作品の土台、Contのオープニングを彩る「お絵かきマシーン」や「いいネタ作ります。」の焼印など、とにかくなんでもつくって持ってきてくれる頼もしい存在。他にも芸短生のプロダクト制作や美術館の展示のお手伝いなんかもしている。
そして、今回満を持してつくってきたのが、NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」に登場する大月の回転焼き。
焼印を自作して、贔屓の回転焼きを購入し、焼印を押して関係各所に配っている。
こうして、いつもキュッピからモノづくりの恩恵を受けているわけだが、一番は私のモノをつくることへの熱を冷めさせないこと。彼の名言とも言える「ないモノはつくればいい」を念頭に実践している。
【おまけ】OITA DESIGN POWER 2018 Design Cafe 4 EXHIBITION in OPAM. 〜デザインとの出逢いの展覧会〜
キュッピとkirikoの即席ユニット「誘惑フライデーズ」による文字と板金のインスタレーション