語り継ぎたい石立ドラマの世界
いつ見ても石立鉄男
ドラマをチェックする習慣のない私ですが
「好きな俳優は?」と聞かれたら迷わず答える俳優が
この数年で確固たるものになりました。
石立鉄男(1942〜2007)
昭和を代表する名優ですが、
世代によっては「わかめラーメン」の人という印象でしょう。
CSのチャンネルNECOという放送局では
毎週日曜の朝8時から、かつて日本テレビで放送されていた
ユニオン映画制作の所謂「石立ドラマ」が繰り返し放送されています。
これを観るのがここ数年の私のお楽しみとなっています。
私はこの個性派俳優にすっかり魅了されてしまいました。
この石立ドラマ、
1971年から78年まで計7作放送されており、
例外もありますが、基本的には主演に石立氏、
メイン脚本家に松木ひろし氏、
音楽はルパン三世でお馴染みの大野雄二氏が手掛けています。
どれも昭和感強めの良質なコメディ系ホームドラマです。
今回は7作のなかから好きなシリーズを紹介します。
水もれ甲介(1974-75)シリーズ5作目
大野雄二によるソフトロックな主題歌が素晴らしく、
そこから興味を持ち、
主題歌を聴くだけでは飽き足らずドラマ本編を観るに至り、
私が石立ドラマを見漁るきっかけとなった一作。
実家の水道屋を舞台に繰り広げられる
家族や近所との絆を扱った作品。
失われつつある人と人の温かいつながりが味わえる名作です。
この作品での石立鉄男の役どころは
ドラムで生活することを諦め、
未経験ながら実家に戻り水道屋を継いでいく、というもの。
気が短くよく怒鳴り、剽軽でお調子者、だけど人情に厚い三枚目を好演しています。
雑居時代(1973-74)シリーズ4作目
シリーズ屈指の人気作。
知人から立派な家を譲り受けた
妻を亡くし娘5人を抱えた中年サラリーマン一家の6人家族と
家の元の持ち主の息子との奇妙な同居生活を描いた作品。
特筆すべきは、この作品で相手役を務めた大原麗子の美しさです。
あまりの美しさに驚くという現象は初めての経験でした。
この時期の大原麗子が、歴史上一番美しい人間だったという説を流布させたいほどです。
この作品での石立鉄男の役どころは
同居の一家と常にいがみ合いながら
忙しい日々を送る売れないカメラマン、というもの。
気が短くよく怒鳴り、剽軽でお調子者、だけど人情に厚い三枚目を好演しています。
気まぐれ天使(1976-77)シリーズ6作目
全43話というシリーズ中もっとも長い作品。
先日、約1年をかけてようやく観終わったばかりです。
居候暮らしにも関わらず、
偶然街で助けた老女に居候先に住みつかれてしまった男が
次々トラブルに巻き込まれる作品。
この作品での石立鉄男の役どころは
女性下着メーカーの社員として働きながら
童話作家の夢を追いかける、というもの。
気が短くよく怒鳴り、剽軽でお調子者、だけど人情に厚い三枚目を好演しています。
コロナの影響で過去のドラマを放送するなら
こういったドラマを地上波で再放送するくらいのチャレンジをしてほしかったものです。
微力極まりありませんが、
令和の時代においても、石立ドラマの素晴らしさを後世へ語り継いでいきたいと思います。