ひとと趣味とまち

今回の参加者

  • 田辺朋之

    大分市中央町のBAR「78(ななはち)」オーナー。猫好きが高じて店を昼間は「78猫の部」をオープン。愛猫3匹と暮らす。

  • 森崎輝史

    人工衛星やロケット開発を行う会社を経てWEB制作をシームレスに行う「合同会社 イッケンヤ」を設立。プラモデルのコレクター。

  • 佐藤霧子

    クリエイティブディレクター。県立芸術文化短期大学非常勤講師。アニメや漫画、音楽、美術を愛し、刹那的に生きている。

今日は、アニメがテーマです。私とてるちゃん(森崎)が出会ったのはいつだっけ?20歳くらいかな。

まだ20歳になってなかったね。最近は少なくなったけど、昔はVJとしてよくクラブにいましたね。アニメの画を使ったりしてね。そこで霧ちゃん(佐藤)と意気投合したね。

一緒のユニットではないけど、私がDJで、てるちゃんがVJだった。

そうそう。霧ちゃんと田辺さんの出会いは?

共通の友達が何人かいて、バンド仲間になったのが始まりだっけ?

知り合って9年くらいかな。まだ「78(ななはち)」がオープンする前だよね。

2人がアニメを好きになったのは、子どもの頃なの?

今日は私のアニメ人生の起源といってもいい「Dr.スランプ アラレちゃん」のTシャツを着てきたよ。

鳥山明先生!

鳥山さんはドラゴンボールのイメージしかないなぁ。

実はアラレちゃんのときに出てきていたキャラが、カタチを変えていろいろなアニメに登場したりしてるんですよ。

そうなのよ。大分ではアニメの放送が少なかったんだけどね。

当時は民放放送が2局でしたね。僕が小学校高学年の頃にOABが開局して、そのあたりから「名探偵コナン」の放送が始まったかな。森崎さんは?

僕は、王道だけど「ガンダム」がスタートかな。そもそもロボットとかプラモデルが好きで、プラモデルが動くところを見たいがためにアニメを見始めた。はじめてガンダムを観たときは、「わー!ロボットがかっこいい」って思っていたけど、今改めて見てみると、なかなか重いアニメよね。

私はその時代は「うる星やつら」とか「らんま1/2」、「めぞん一刻」とか観てた。

高橋留美子ワールドにどっぷりだったんですね。

あとは、「じゃりン子チエ」とかね。てるちゃんも好きでしょ。

好き。全部見たことないけど。当時、母親がレンタルビデオを借りて見てたな。

あの時代はコンプライアンスも緩くて、けっこう表現が何でもありで面白かった。

今でこそアニメは市民権を得たけど、当時は「アニメが好き」って言えなかったよね。“オタク”って呼ばれる時代だったから。

その後、海外とかで評価され、文化的価値があるって言われ始めたね。今は、昔のアニメを動画配信サービスで見ることができるから、若い人も手軽に見られるようになってきたよね。

クールに入る前に今季のアニメラインナップが出るから、1話だけとりあえず全部見て、情報収集し面白いやつだけ見てた。

暗い女だなぁ(笑)。

最近はYouTubeでも、来期のアニメの予告編とかも見られたりするもんね。でも、1話だけ観て、「面白い!」って感じるものですか?

1話で大体分かる。

1話が絶望的につまらなかったら、2話からは見る気にならない。

でも、ときどき恐ろしい作品もあるんよ。12話中8話あたりまでつまんないのに、9話目くらいから急に面白くなるパターンも稀にある。

僕は、アニメはあまり見ないんですけど、みんながすすめる作品は、15話中8話までは観ようとするんですよ。そこまで観てつまらなかったら観るのをやめます。

じゃあ、ここから本当に好きなアニメを3本ピックアップしてみよう。

いいですね。じゃあ霧子さんから。

3本に絞るのが本当に難しかった…。まず1本目は「カウボーイビバップ」です。Netflixで見られるんだけど、当時はなかったからDVDを買いました。

アニメの金字塔じゃん。

簡単にあらすじを教えてください。

いつもお腹を空かせている貧乏な賞金稼ぎのお話です。

火星と地球が舞台で、普段火星で暮らしている主人公のカウボーイが、宇宙船ビバップで賞金稼ぎをする話です。渡辺信一郎が監督を務めていて、毎回映画を作るつもりで制作したらしい。20分アニメなんだけど。本当に1話1話がクオリティが高いんです。1話完結だから見やすい。

サクッと気軽に見れる?

全然重たくないし、テンポも良い。あと、音楽がめちゃめちゃいい。菅野よう子さんの音楽プロデュースのセンスが光ってる。挿入歌とか背景の音楽とかも全部かっこよくて、ビバップっていうくらいだから一応ジャズがメインだけど、それだけじゃない。サントラだけをアナログレコードで聞いてます。作業用BGMとしてもオススメです。

(皆でオープニングを視聴)

田辺:ちょっとパッと見た感じ、「SPY×FAMILY」とか「ルパン3世」っぽい感じ?

あー、ルパンはよく比較されるけど、全然違う!

声優もいいよね。アンパンマンのチーズが声優だからね。

チーズって、「ワン」とかしか言わない奴ですよね。誰?。

山寺宏一さん。

山ちゃん!では、僕の1作品目は「未来少年コナン」です。皆さん、ご覧になったことはありますか?

もちろん!

田辺:小学校2年生くらいでOABが開局して、「名探偵コナン」の放送がスタートして、周りの友達が「コナンコナン」って言ってた頃。でも、俺が夢中になってたのは未来少年コナンだった。もう5、6回以上は見直してるかも。何度でも見れちゃうアニメです。

劣化しない作品だよね。エンディングテーマ、今でもよく聞くよね。

斬新だったのが、敵がどんどん味方になっていくこと。「ドラゴンボール」でも、敵がどんどん減っていくでしょ。あれって、もともと未来少年コナンから始まったんじゃないかなって勝手に思ってる。敵が味方になって、友情が芽生えていくのが、今のアニメに通じてる。

振り返ると、超磁力兵器みたいな科学が人類を滅ぼすことになるという宮崎駿作品のテーマ性がすでに感じられる。

いいね〜。では、僕のターンかな。最近のアニメは割と作画崩壊が気になるものが多いんだけど、でもそんな中で今1番推してるのが「モブサイコ 100」。

見てない。

やばい、話についていけない…。

もともとはWEB漫画なんだよ。ONEという作者が描いてるんだけど、「ワンパンマン」の作者でもある。線画が独特だから、ワンパンマンはアニメ化+ジャンプの連載は別の人が絵を描いているんだよ。でも、「モブサイコ100」は、この作者の絵のテイストを生かしたままアニメ化したんだ。でも、海外でかなり高い評価を得ている。キャラクターは、ただの線とか棒で表情も何もないのに、グラフィックがめちゃくちゃ美しい。

漫画の世界観を優先してるのかな。

あまり表情がない顔ながらも、それが逆に表情豊かに感じる。主人公は普段地味なオタクなんだけど、めちゃくちゃすごい超能力者。感情が100パーセントになったときにブチギレて、超能力を発揮する。周囲の友人たちに影響されながら、自我を築いていく。そして周囲の人間も彼から影響を受けていく。すごく面白い話だと思う。

そういう世界観だから、そういうタイトルなんですね。

作画も話も全部素晴らしいから本当におすすめしたいね。シーズン3まで放送されていて、特にシーズン3の評価がめちゃめちゃ高い。Netflixで見られるから、ぜひ見てほしい!

では次、2周目行きますね。私の2本目は「四畳半神話大系」です!

やっぱり知らない作品だ(笑)

森見登美彦氏の小説が原作です。当人が京都大学出身ということもあって、京大の吉田寮がモデルの四畳半に住む大学生が、思い通りにいかないキャンパスライフを何度もやり直すパラレルワールドを描いた青春物語。主人公には名前がなくて、一人称の「私」が独特の言語回しを繰り広げるナレーションをひたすら喋りまくるスタイルが好み。

絵もしゃれてますねぇ。

キャラデザをイラストレーターの中村佑介氏が担当してる。どのキャラクターもキャラだちしてて、捨てキャラがない。「ピンポン」とか「夜明け告げるルーのうた」、「デビルマン」を手掛けた湯浅政明作品で、イメージボードの段階からエキセントリック。

てるさんからしたら納得のラインナップですか?

えぇもう、納得のチョイスだね。オープニングテーマも良いよね。

「ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)」の「迷子犬と雨のビート」に合わせた映像が物語の世界観を表現してます。原作者は、押井守監督がすごく好きらしい。1作品目の「カウボーイビバップ」の渡辺信一郎監督も、押井守監督の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を観てアニメ監督になろうと思ったらしくて。つながってるんだなぁって。今回押井作品はラインナップしてないけど。

意外とSFとか見てる人は、みんな押井テイストに惹かれるから。じゃ、次は田辺さん、どうぞ。

みンなマニアックな作品ばかりなので、出しづらいんですけど、僕の2本目は、「みかん絵日記」です。原作は少女漫画で連載された漫画だったかな。

オレンジ色の猫の物語ね。

僕が小学校低学年のときに放送されていた作品です。オレンジ色の猫「みかん」が、昔飼われていたおじいさんに日本語を教えてもらって喋れるようになったんだ。でもおじいさんの前から「私の前でしかしゃべっちゃダメだよ」って言われていて。その約束を守っていたんだけど、おじいさんが亡くなったときに、葬式で「じいちゃん。なんで死んじゃったんだよ」みたいなことを言って。周りから化け猫だと言われ、野良猫になって…。その後、主人公に拾われてからストーリーが始まるんです。

絵が懐かしい。元祖日常系アニメ。

みかんは「ちびまる子ちゃん」の声優のTARAKOさんが声優を務めていて。結構、泣けるシーンが多いんですよ。「猫は人間にとって、こんなものなの?」と主人公や家族に問いかけるシーンがあって。猫を飼いはじめてから観ると、考えさせられるものがありますね。でも、同世代の友だちもあまり知らないアニメかも。

絵を見せたら、多分「あっ」って言うんじゃないかな?確かに泣けるアニメだったよね。じゃ、僕の中での2つめの作品は「古見さんは、コミュ症」。みんな知ってるのかな?

もともとは漫画よね。

この作品の絵のクオリティもすごくて。「モブサイコ100」同様、主人公は大したキャラクターじゃない。古見さんはコミュ症で、登場するキャラクター全員クセが超ありすぎて。古見さんは超美人すぎて、逆に敬遠されて、声もかけられないの。だけど、只野仁人っていう普通の男の子が古見さんとコミュニケーションをとることによって、友達を100人作るストーリー。グラフィックが美しくて、エンディングテーマの映像とキャラクターの描写が素晴らしいのよ。授業が終わって教室から帰るシーンなんだけど。すごくリアルで。もしかして一度実写で撮影してからアニメに落としてるのかなと思ったり。

完全にクリエイター目線ですね。

漫画は読んだけど、私はそんなにハマらなかった。でも、映像美はアニメだからこそわかるポイントよね。

そうそう。アニメーションになって、クオリティがさらに上がったんじゃないかな。スカートの動きとか、すごくよくできてる。オープニングを見ただけでも多分分かると思う。

そんなクオリティ面を出されると、「未来少年コナン」とか「みかん絵日記」とか、なんだか恥ずかしいな。

今のところ、どのアニメも「未来少年コナン」には太刀打ちできないよ。

あの味のあるクオリティはなかなか出せないからね。

じゃ、いよいよ最後ですね。3本目は「サマーウォーズ」です。

コレ嫌いな人はいないでしょ。

僕も観たことあります。でも、話題の作品だったから、期待しすぎちゃってたのもあって、「みんなが騒ぐほどいい作品なのか?」っていう印象だけが残っちゃったんです。

舞台が田舎の大家族なんだけど、私の一族も多くて、すごく親和性があった。聡明なおばあちゃんとか、癖の強い親戚とかね。物語は現実世界と仮想空間が交差したり、世界中の人たちがダメダメだった主人公の味方になって戦うという、アニメの王道がギュッと詰まった作品。夏になると、絶対毎年見たくなるし、甥っ子とか姪っ子とかに勧めて家族みんなで見てる。私のイチオシ夏アニメです。

心情風景もいいよね。

そう。おばあちゃんが亡くなった後の縁側シーンとか小津安二郎を彷彿させる。高校野球のシーンとかも、随所に仮想空間の中で起きている事件の具合と試合の緩急がシンクロしていたりとかも面白くて。私は数ある細田作品の中では、これが1番大好きで、これを超える細田作品はないなって思ってる。

「時をかける少女」もよかったけど、僕も「サマーウォーズ」。フィギュア作ったよね。

作ったね。うちにあるよ。てるちゃんが作ったやつも。キングカズマね。

熱い気持ちが伝わってきました。じゃぁ、次は僕。「サマーウォーズ」のあとに出しにくいなー(笑)…。「ダイの大冒険」です!小学校低学年の頃、毎週楽しみに見てたんですけど、途中で打ち切りになっちゃったんですよ。バランっていうダイのお父ちゃん倒すシーンで終わったんだけど、昨年リメイクでダイの大冒険の放送がはじまり、30年越しにようやく完結したんです。

漫画は37巻も発売されてるんだ。アニメは1991年時点で全46話。2020年で全100話!?アニメで100話も放送してるなんてすごいね。全く見てないけど。ゲームしないからかな。

30年近く経って、映像がめちゃくちゃきれいになっていて。「ああ、やっと終わることができた」ってなんだか感慨深かったな。

読了感があるというか、観了感があるというか。

うん。途中で終わったのがすごく残念だったから。もちろん漫画は読んでるんだけど、アニメで最後に見たかったから。

開けた引き出しを閉めることができたんだね。よかった。

大事、大事。じゃあ、僕の最後はこちら。「86-エイティシックス-」です。この数年で、今のところ、これを勝るものはないくらい好き。ただ、あまりにもオタク色が強いんだけど…86(エイティシックス)。ここは78(ななはち)だけどね(笑)

どんな話なんです?

1つの国で戦争が始まったんだけど、敵国からAIとロボットが攻めてくる。それを撲滅するために、こちらもAIのロボットで戦わせる。戦死者0で勝っていると報告されていたんだけど、実は第86区っていう区域にいるアジア系の人たちが操縦して戦っているっていう。ただ、彼らは人間の扱いをされてない。迫害する共和国人と虫ケラのように殺されていくエイティシックス、その2つの立ち位置で、少年少女がそれぞれの理想や誇りのために、戦い抜いていくストーリー。

けっこう重たい話なんですね。

超重い。人がどんどん死んでいく。この作品に出てくるドラマは、全部4本足ロボットで。これの戦闘シーンの演出がとてつもなくかっこよくて。

放送は続いてるの?

もう終わってる。でも最初からたくさんの伏線が仕込まれていて、最後の最終話に初めて明かされることも多いので、ぜひ見てみてほしい。86区にいる人って、みんな子どもたちばかりなんですよ。「次は誰が死ぬんだろう」、それさえも分からない。曲もすごくいいし、最後は号泣ですよ。シーズン1の終わりくらいのときに、お供のロボットが残した映像の中に、今まで死んでいった子たちが吐露したちょっとした言葉とか、映像が全部入っていて。それがロボット視点で描かれていて、感動する。

ロボット熱が止まらないね。

(この後も延々と続くアニメトーク)

好きな話してただけなんだけど、大丈夫?

気づけばもうこんな時間!そろそろ終了しよう。

とにかくマニアックなアニメが登場したひとときでした。

ほんとうに楽しい時間でした!ありがとうございました。

<今回登場したアニメ>

「Dr.スランプ アラレちゃん」「ドラゴンボール」「ドラえもん」「忍者ハットリくん」「機動戦士ガンダム」「うる星やつら」「らんま1/2」「めぞん一刻」「じゃりン子チエ」「名探偵コナン」「クレヨンしんちゃん」「マジンガーZ」「NARUTO-ナルト-」「科学忍者隊ガッチャマン」「王様ランキング」「スペース☆ダンディ」「カウボーイビバップ」「SPY×FAMILY」「未来少年コナン」「ふしぎの海のナディア」「モブサイコ 100」「ワンパンマン」「進撃の巨人」「四畳半神話大系」「四畳半タイムマシンブルース」「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」「攻殻機動隊」「攻殻機動隊 ARISE」「スカイクロラ」「2nd GIG」「みかん絵日記」「ちびまる子ちゃん」「古見さんは、コミュ症」「化物語」「サマーウォーズ」「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」「君の名は。」「秒速5センチメートル」「時をかける少女」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」「ダイの大冒険」「聖闘士星矢」「86-エイティシックス-」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「チェンソーマン」「サマータイムレンダ」「スキップとローファー」「不滅のあなたへ」「聲の形」「とんでもスキルで異世界放浪メシ」「シドニアの騎士」「BLAME!」「魔法少女まどか☆マギカ」「虚構推理」「オッド・タクシー」「ぼっち・ざ・ろっく!」「リコリス・リコイル」「Dr.STONE」「ゴールデンカムイ」「エヴァンゲリオン」

今回のお店

78(ななはち)・78猫の部

住所:大分市中央町2-6-4エムライフシティビル2F
電話番号:なし
営業時間:19:00~0:00
定休日:日、月曜
駐車場:なし

若草公園そばにある、心地良い音楽とともにお酒が飲めるバー。店内にはお皿やマグカップ、ポストカード、書籍など所狭しと猫グッズが並び、購入も可能。運が良ければ看板猫の「小豆洗」と一緒にお酒が飲めるかも!?

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