アウトサイダーアート「なんか展」レポート

つくりたいものを、届けたい。

10月6日(金)〜15日(日)、障がい者アートに新たな価値を生み出すことを目的に活動する「naNka」とともに、活動の集大成として作品展示や創作風景、企業とのコラボレーションをお伝えするイベント「なんか展」を大分市金池のコレジオ大分にて開催しました。期間中、会場には絵画やカレンダー、Tシャツ、バッグなどアーティストが制作したグッズが多く展示されました。

オープニングパーティー

初日の6日(金)のオープニングイベントには、40名を超える方にご来場いただきました。

まずは、Cont代表の河野よりご挨拶。「障がい者アートとの出会いは、障がいのある娘に絵画教室に通わせようと梅本美術研究所を訪ねたとき。彼らが何気なく描いた作品たちに一目惚れしたのです。同時に、その素晴らしい作品が陽の目を浴びることが少ないという現状を知り、アウトサイダーアートの世界観や素晴らしさを広めたいと思いました」。

naNka代表の梅本弥生さんは「私は就労継続支援B型・生活介護事業所「Y.H.2020(ユーツー)」を運営しています。彼らの作品の価値をさらに高めることで、社会参加を促したいと思いました」と、naNka設立のきっかけを述べました。続いて、所属アーティストについて紹介した後、B型事業所の1日の平均工賃について説明。「障がいのある人が1日に働く全国平均工賃は1万6000円。彼らが自立して生きていくために、河野さんから声をかけていただき、さまざまなプロジェクトを展開してきました」とメッセージを送りました。

naNkaで取り組んだ「別府のオリジナルアートマスクケース制作」の紹介や、第一調剤薬局と取り組んだ「きりんのオブジェプロジェクト」、「鬼山ホテルシャッター壁画プロジェクト」「オリジナルカレンダー制作」、「Beppu up in別府大学」など、当時の思い出とともに、これまでのプロジェクト一つひとつを振り返ります。

続いて、障がいのあるメンバーが福岡を拠点に絵画や陶芸など創作活動を行う「工房まる」代表理事の樋口龍二さんによる基調講演を行いました。「26年前、『工房まる』で障がい者たちの感性に魅了されました。彼らを助けるのではなく、彼らと面白い社会をつくりたいと思い福祉業界へ飛び込みました。

障がいとは、“間にあるもの”のこと。目が見えないことは障がいではありません。“どこに行きたい “という欲求があって、そこにたどり着けないのが障がいであり、障がい者が暮らしやすい社会に変えていかなければいけません」と、「ロイヤルパークホテル」とのコラボプロジェクトなどを紹介。「多様な社会を目指すなかで、障がい者を支援する=伴走すること。障がいのある人が自分らしく生きていく選択肢を増やすことだと思います」と講演を締めくくりました。

基調講演のあとは、「株式会社ITメディカル」代表取締役の今田屋 耕一郎氏、「株式会社ファイン」統括本部長 茶屋元崇喜氏、「おおいた障がい者芸術文化支援センター 」立花泰香氏、社会福祉士 久門 健太氏のnaNkaに関わる4名のゲストを招いてトークセッションがスタート。各企業や団体のnaNkaとの関わりやコラボプロジェクトについて語り合いました。

「私は、障がい者の作品がほしい、SDGsのために何かやりたいと思ってnaNkaに依頼したのではありません。純粋に彼らの作品に魅力を感じたから。作品の素晴らしさをたくさんの人が知り、naNkaの取り組みが広がっていけばいいですね」の言葉に、「これまで3年間の歩みを発表する場であるとともに、新たな次の出会いにつながるようなスタートラインのなる気がします」と、河野が熱い想いを述べ、オープニングパーティーを締めくくりました。

ファイナルパーティー

いよいよ迎えた最終日の15日(日)。ファイナルパーティーは、会場にはY.H2020のアーティストたちと支援者やゲストが続々と来場。和やかなムードの中、ファイナルパーティーがスタート。プロギタリストの草刈浩司さんも東京からかけつけてくれ、早速ライブペインティングへ。

草刈さんの自由でエフェクティブなギターの音色に合わせながら、アーティストたちが巨大なキャンバスに色を重ねていきます。刷毛やローラー、スタンプを使いながら、大胆に、力強く、そして自分らしく。アーティストと一般来場者の方々も一緒になり、夢中でキャンバスに向き合っています。それぞれの個性が混ざり合った大きなアート作品が完成しました。

イベントのラストに、みんなで嵐の「Hapiness」とスピッツの「チェリー」を歌いました。リズムに合わせて飛んだり、踊ったり、笑顔が溢れるステージを披露してくれました。最後は、記念撮影を行い、大盛り上がりファイナルパーティーは幕を閉じました。

パーティー後は、1階のギャラリースペースにて、梅本弥生さんによるギャラリートークを開催。アーティスト一人ひとりの素顔や作風を紹介するとともに、「naNkaの活動を通して、社会の課題や悩みを解決し、誰かの笑顔をつくっていきたい」と今後の展望を述べました。

オープニングイベント、ファイナルパーティーはもちろん、会期中、たくさんのお客さまにnaNkaの取り組みに親しんでいただきました。そして、ご尽力・ご協力を賜りました関係者の皆さまのおかげで本イベントを終えることができました。心よりお礼を申し上げます。

これからもContは、障がい者アートの魅力を伝え、多くの人にアウトサイダーアートの魅力と社会とつながる楽しさをお届けしていきます。今後ともよろしくお願いいたします。