ハービー・山口さんトークショー 開催レポート
Cont10周年プロジェクトの一環として開催した、ハービー・山口写真展「We will be alright!~なんとかなるさ」。
初日の6月10日(土)、ハービー・山口さんのトークショーは、九州各地の写真愛好家やハービーさんの世界観に魅了された人たちで満席に。
まずは、Cont代表の河野が、「19歳の頃、写真集『ロンドン・アフター・ドリーム』を読んで以来、ハービーさんの大ファンでした。10周年を機にハービーさんに思い切ってオファーし、このようなご縁をいただくことができました。写真集の発売、写真展の実施と、大きな企画を実現させることができて感慨深い」と、本プロジェクトに込めた想いを述べました。
つづいて、ハービーさんが発売されたばかりの最新写真集について「Contの皆さんや今回、プロデュースを手がけていただいたLong Distance Loveの柴田廣次さんと一緒に何度もコンセプトを練り、今回の“対”のテーマが生まれました。50年以上にも及ぶ経歴の中から撮り溜めてきた作品を眺めていると、時代も国も違うのに、構図や世界観がとても似ているものがたくさんありました。自分の“撮り方の癖”があるので、よくよく考えると必然だった気もします」と振り返りました。
そこからはトークイベントならではの贅沢なひととき。“対”の世界観を皆で作り上げた今回の作品集と写真展。東日本大震災で出会った青年とジョン・ライドンの写真、本プロジェクトのキービジュアルにもなっているキスの写真など、掲載写真のエピソードを一つひとつ丁寧に生解説いただきました。
作品集には収められていない展示作品についても言及。今年3月に逝去した坂本龍一さんの手を写した瞬間や、オフィシャルカメラマンを務めていた尾崎豊さんの普段はあまりみせない表情についてなど、メディアでもあまり語られることのなかったエピソードに、参加者たちは目を輝かせていました。
印象深かったのは写真家として大きな契機となった30代の頃の出来事。「ロンドンの地下鉄のホーム。どこか見覚えのある青年が立っていました。パンクバンド、The Clashのジョー・ストラマーです。私は写真家としてのキャリアが浅かったので、恐る恐る『写真を撮らせてもらえませんか?』と声をかけると、なんと快くOKをもらいました。撮り終わると『撮りたいものはみんな撮りなよ。それがパンクだよ』と励ましてくれた。その言葉に勇気をもらい、ここまで写真を続けて来られた気がします」。
以来、世界のアーティストから芸能人、市井の人まで、50年間にわたってシャッターを切り続けてきたハービーさん。「写真を撮るときは“その人の幸せ”を祈ってシャッターを切ります。人が一番ポジティブな瞬間を写そうと思っています。私の写真が、前を向くきっかけになれば嬉しいですね」。ハービーさんの言葉に、参加者は耳を傾けていました。
イベント終了後は、ハービーさんが写真集購入者全員にサインをしながら交流を深めるという嬉しいサプライズも。参加者すべてがハービーさんの写真への深い愛、 人々の心を動かす秘密を体感することができました。
お忙しいなかご来場いただきました皆様をはじめ、イベント運営にご協力いただきました「ROOMROXY」様のおかげで、無事にトークショーを終えることができました。心よりお礼申し上げます。