キャッチフレーズ・ウィズ・ミュージック

komori

追悼 伊藤アキラ編

先月15日、昭和の偉人がまた一人、鬼籍に入られました。


作詞家の大先生です。
誰しも「作詞 伊藤アキラ」という文字の並びを
一度は見たことあるのではないでしょうか。
もし名前にピンとこなくても、
その詞には確実に触れたことがあるはずです。

歌謡曲では「渡辺真知子/かもめが翔んだ日」、
アニメソングでは「ラムのラブソング」、
童謡では「南の島のハメハメハ大王」などが代表作でありますが、
所謂、著名な作詞家としては
「誰もが知ってる」みたいな曲はどちらかといえば少ない印象で、
私にとってはやはり、CMソングの偉大な作詞家なのです。

氏の紡いだ、CMソングにおけるキャッチフレーズをピックアップしてみます。

“この木なんの木 気になる木”

(日立)

知らない人はいないのではないかと思える
伊藤アキラ代表作にしてCMソングの代表曲。
改めて、3・4・5文字のリズムの良さはどこまでもキャッチーで
フルコーラスで聞くと壮大で感動的だったりします。
現在はアカペラ風のものが流れておりますが、
初代版、ヒデ夕樹氏のソウルフルかつ優しい歌唱のものが最高です。


“あなたがジンとくる時は
私もジンとくるんです”

(三ツ矢サイダー)

サイダーの爽やかさが見事に落とし込まれた1曲。
当時このCMをみて、一緒にサイダーを飲んだカップルも
多かったのではないかと推測できます。
大滝詠一氏のCMソングの代名詞ともなりました。


“足してもだめなら引いてミニ
掛けてもだめなら割ってミニ”

(カシオミニ)

それまで企業向けだった「電卓」を
一般家庭に普及させるきっかけとなったミニサイズの計算機「カシオミニ」。
「ミニ」のワードを取り入れたコミカルな歌詞はCMソングの真骨頂。
「答え一発!」というキャッチフレーズが、
電卓というものをこれでもかというくらい簡潔に表しています。



“もぎたてみかんのビタミンC
そっくり生きてるおどってる”

(ポンジュース)

「そっくり生きてる」の時点で
フレッシュジュースのキャッチとして十分素晴らしいのに
被せて「おどってる」と付けることでフレッシュ感が倍増し、
飲むと元気になれそうな気がします。
(ちなみに私はみかんが苦手です)

“毎度毎度のおさそいに
イヤダ イヤダで ホホホイのホイ!”

(大正漢方胃腸薬)

決して断ることのできないサラリーマンの悲哀がなんとも云えません。
今であれば「パワハラ!」「コロナ!」でこんなこともないのでしょう。
まさにCMは時代を映す鏡であります。

R.I.P.