ブラウン管から投げかけられたメッセージ
モーレツからビューティフルから50年
最近手に入れたレコードを1枚。
丸善石油(現・コスモ石油)の1969年のCMソングです。
このCMはモデルの方のスカートがめくれる演出で
お色気CMの走りとしてお茶の間に浸透し大変流行したそうです。
昭和のCMを語るうえで非常に登場頻度の高いCMかと思います。
このキャンペーンポスターが街から消えたり、
小学生の間でスカートめくりが流行るきっかけになったり。
確か私が中学生くらいの頃にこのCMが何故か菊川怜でリバイバルされたのですが、
思春期真っ只中だったので強く印象に残っています。
そんなこんなで、今の時代ならなにかとクレームがつくであろう作品です。
ちなみに本家のモデルを務めた小川ローザさん。
その顔立ちからハーフタレントかと思いきや、純日本人。
私も純日本人なのに異国顔ということで、個人的に顔面的境遇シンパシーを感じます。
当時家庭を顧みず、休まず猛烈に働く会社員たちは
この「Oh!モーレツ」というキャッチから「モーレツ社員」と呼ばれました。
こんな言葉が流行ってしまうのも、今の時代なら社会問題でしょう。
そしてこのCMに対するアンチテーゼといわれるCMも存在します。
富士ゼロックス社の1970年のCM「モーレツからビューティフルへ」。
こちらも昭和CM史に残る作品として語り継がれています。
「ビューティフル ビューティフル」とだけ
怪しげに繰り返される曲とナレーションをバックに、
ヒッピーファッションを身に纏った今は亡き加藤和彦氏が
「BEAUTIFUL」と書かれた紙を持って街を歩くだけ。
中途半端なところで映像も曲も突然ストップし、
「モーレツからビューティフルへ」というコピーが出て終わり。
という深夜に一人で見たら、ちょっと怖い感じの内容。
見たところ何のCMなのか全くわからない、
非常にメッセージ性の強い、かつ実験的な作品です。
作品を手掛けた広告プロデューサーの藤岡和賀夫氏によると、
「モーレツ」時代の見直しを呼びかけるため
逆の言葉として選んだ言葉が「ビューティフル」だったそうで、
50年経った現代にも通じるメッセージな気がします。
こんな呼びかけを一企業がテレビコマーシャルという場で行っていたことが大変興味深いです。
しかしその後バブル期にはリゲインの「24時間戦えますか?」の時代がきたりと
「モーレツ」と「ビューティフル」は時代の中で繰り返され続けていくものなのかもしれません。
働き方改革が叫ばれる今の世の中は、間違いなくビューティフル方向。
「モーレツ」が必ずしも悪いことだとは思いませんが、やはり「ビューティフル」がいいですね。
弊社は富士ゼロックス社の複合機を使っております!