『非現実の王国』へ、ようこそ!

ツルハシ

ヘンリー・ダーガーが書いた“小説”を読んでみたい

ヘンリー・ダーガーは、
長編のファンタジー小説『非現実の王国で』と、
その物語の挿絵の作者です。

アウトサイダー・アートの
最も著名なアーティストの一人として知られ、
自筆した小説のストーリーを図解するために描かれた絵が有名です。

日本でも図版が出版されていますが、
残念なことに、
どこの国でも小説は全巻出版されていません。

彼の残したもう一つの作品、
小説を読むことが私の夢です。


非現実の王国の建国

ヘンリー・ダーガーは生前、作家ではありませんでした。

ひびの入った眼鏡をかけたみすぼらしい身なりをした
身寄りがない孤独な老人でした。

彼の死後、遺品整理のために彼の部屋を訪れた
アパートの大家さんによって、
60年の歳月をかけて人知れず執筆された小説と
挿絵が発見されました。

それが『非現実の王国で』でした。
主人公である七姉妹ヴィヴィアン・ガールズが
大人たちの戦争に立ち向かう冒険が綴られています。


世界最長の長編小説

発見された原稿はタイプライターで清書され、
15,000ページ以上に及びます。
もしも丸ごと刊行されたら、
世界一長い長編小説として
ギネス世界記録の最有力候補になるだろうボリュームです。

似たようないくつもの冒険が起承転結もなく延々と果てしなく続き、
脱線話や長話があまりに多く
イマイチ要領を得ないストーリー構成のため、
もし『非現実の王国で』の小説の完全版が発行されても、
おそらく誰も読まないだろうと言われています。
そんなこと言われると、読みたくなります!


本当のタイトルも長い

研究者たちですらいまだに『非現実の王国で』を
読破できていないのでは?と噂されるほどの超大作。

正式な題名は
『非現実の王国として知られる地における、
ヴィヴィアン・ガールズの物語、
子ども奴隷の反乱に起因する
グランデゴ-アンジェリアン戦争の嵐の物語』を
いつか読んでみたいと思う今日この頃です。

挿絵の中では、
絨毯の中に隠れて逃げようとするシーンが特に好きです。

出典:『ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる』編著 小出由紀子/平凡社